映画『Good Hair』を見ました
週1でDVD観賞をする我が家の楽しみ。
今回は『Good Hair』をチョイス。
この映画、黒人女性を理解する第一歩として、かなり勉強になりました。
黒人の多いワシントンDCで・・・
ワシントンDCは、歴史的背景からも黒人の多い街。
インドのアメリカンスクール時代は学校に黒人がいなかったし、主人の実家のサンディエゴも黒人よりヒスパニック系が多いしで、始めは黒人を見慣れなかった私。
だからその分、観察もしてしまう訳で。
特に、黒人女性の中には特大サイズのボディをお持ちの方もいれば、スーパーモデル級のスタイルの方、目を奪われる程チャーミングな顔立ちをした方がいて、渡米当初は黒人女性観察が密かなマイブームに。
ただ、いつも不思議だったのが彼女たちの髪の毛。
黒人の地毛ってもっとチリチリ、フワフワじゃなかったっけ?
昔の鶴瓶師匠みたいな・・・。
もしくは、ジャクソン・ファイブみたいな・・・。
でも、私が町中で見る女性の中には、ナオミ・キャンベルのようにサラッサラ直毛の人がいるんです!
アフロ毛が全然いないんです!
黒人女性の髪の毛に対する意識
本来、こういう編み込みが黒人女性のヘアスタイルのトレードマークですよね?
そんな謎を解いてくれるのが、この映画、『Good Hair』。
とにもかくにも、黒人女性は自分の髪の毛がコンプレックス。
昔のティモテの宣伝(年が分かりますね)じゃないけれど、風になびく髪、指通りなめらかな髪が彼女たちの憧れ。
だけど、もともとの強いクセ毛をまっすぐにするのは一苦労。
ヘアスタイルにかける時間も費用も半端なく、アメリカのヘア業界は黒人で持っていると言っても過言ではありません。
スーパーへ行っても、ヘアケア商品が多く、マーケットの大きさが伺えます。
また、サラサラヘアへの憧れは、白人に近づきたいという劣等感の現れでもあり、彼女たちの髪の毛に対する意識は社会的なものでもあるんです。
黒人女性のヘアスタイル ~第一段階~
では、サラサラヘアに近づくために、まず彼女たちがすることとは???
それが、このリラックサー!!
リラックサーという、なんともベタな響きのこの商品。
いわゆる、縮毛強製剤なんです。
しかし、このリラックサー。
髪の毛や頭皮へのダメージも強く、下手な美容師に当たり、薬の量や塗布時間を間違えられると、皮膚に火傷を負ってしまうほど強力。
それでも黒人は小さな子どもの時からこのリラックサーを使い、縮れた毛をなんとかまっすぐにしようと必死です。
黒人女性のヘアスタイル ~第二段階~
でも、もうお察しかもしれませんが、リラックサーのパッケージの女性と、先ほどのサラサラヘアのナオミ・キャンベルの髪質、どこか違うと思いませんか?
そうなんです!
リラックサーを施した髪の毛は、まっすぐに見えても、ガッシガシで、決してサラサラには見えません。
糊をつけたみたいにパリパリ、カッチカチになってしまうんです。
そこで登場したのが、weave(ウィーブ)という技術。
簡単に言えば、日本でも最近流行っているエクステンション(付け毛)のようなもの。
でも、日本のエクステンションほど手軽じゃないのがミソ。
日本のエクステは、地毛の根元に付け毛を括りつけて、髪の毛を長く見せる手法。
でも、ウィーブは更に上を行きます。
まず頭にcorn-row(コーン・ロー)と呼ばれるものを作ります。
これは、短くした髪を少しずつ取り、頭の形に沿って細かく編み込みを作り、頭に髪の毛の渦巻き線を作った状態。
ウィーブは、そのコーンローにつけ毛を縫い付けて行くんです!!!
「縫う」という細かい作業が入るから、1つのヘアスタイルにかかる時間は数時間!!
その分、黒人レディの髪の毛を触るなんて御法度!!!
彼女たち自身も寝る時、シャワーの時、細心の注意を払います。
ウィーブを解明
ウィーブに関して驚きなのが、その値段。
人工でなく、マジ毛となると、1回8万円(1,000ドル)もするんです!!!!
たっか!!!
もっともっと驚くのは、この付け毛の出所。
実はこの付け毛、インドからの輸入!
インド人女性は、シルキーで長い黒い髪が美しい女性のシンボル。
ただ、家族の病気を治して欲しい時など、特別なお願いがある時は、ヒンズー寺院に出向き、大事にしてきた髪の毛を剃ってもらい、神に捧げるのだとか。
でも、その神に捧げたはずの大事な髪の毛は、洗浄され、パッケージ化され・・・。
インド人商人がスーツケース一杯にして、アメリカ人バイヤーに売るんだとか。
そして、莫大な量の髪の毛も、ものの数時間で売り切れるほど人気なんだとか。
付け毛マーケットのパワー、凄し!!!
映画を見終えて
いや~、今まで余りにも黒人女性の髪の毛については、未知すぎて、映画を見入ってしまいましたよ・・・。
だけど、ちょっと待ってやみてくださいよ・・・。
泣く泣く剃って神に捧げた髪の毛が、黒人女性の付け毛になってると知ったら、インド人女性はどう思うんでしょうか・・・。
黒人女性にしたって、自分の頭上に神頼みに使った髪が乗っかっているなんて知ったら、心苦しいの極みです。
映画を見終わった今、渡米2年にしてまたもや黒人女性に興味が出ちゃいましたよ。
改めてまた凝視してしまいそう。
早速スーパーへ行き、「リラクサー」視察。
パーマをかけたくても全然かからないサラサラ黒髪を引っさげて、真剣にリラクサーのパッケージを読み込む私。
そんな姿を、黒人女性に不思議そう見られたのは言うまでもありません。