こどもがいると、日常になる絵本の読み聞かせ。慣れ親しんだ絵本をたまには英語で読んでみるのはいかがでしょうか?
日本語でストーリーが頭の中に入っているので、「これってこんな言い方するんだ!」と新しい発見がたくさんあって面白いですよ。意外にこどもの方が早く覚えてしまったりして、親子で一緒に英語学習ができるのでとってもオススメです!
今回は大人もこどもも読んでいて楽しい、イチオシ絵本をご紹介します。
エリック・カールの絵本
まずは王道!知らないひとはいないのではないかというくらい、日本でも有名な「はらぺこあおむし」。
英語では“The Very Hungry Caterpillar”
穴のあいた絵本は日本でも海外でもこどもに大人気!
「げつようび、あおむしはりんごをひとつたべました。」
この一文だけ取っても・・・
“On Monday He ate through one apple.”
と、日本語版とはちょっとニュアンスが違います。
我が家の息子は日本語版を読んでいる時、「いっぱい残してるじゃん!」と突っ込んでいましたが(笑)原文では丸ごとは食べていないんですね。
穴があいていることに納得しますが、日本語でこのthroughをうまく訳すのは至難の業・・・。どうやって訳したらこどもにもわかりやすいかな?なんて考えるのも楽しいですね。
エリック・カールのおすすめ二冊目は、「くもさん おへんじどうしたの」。
原題は“The Very Busy Spider”
実ははらぺこあおむしの原題とシリーズのようになっているんですね。
最初のページには、はらぺこあおむしに登場するおひさまも出てきますよ。
この絵本の良いところは、色々な動物とその鳴き声が学べるところ!うまは日本語ではヒヒーンと鳴くけれど、英語では”Neigh!”
では、うしは?ひつじは?ぶたは?いぬは?ねこにあひる、にわとりにふくろう。
「英語をはなすひとには、こんな風に聞こえるんだね」「たしかに!言われてみるとそう聞こえるかも!」と、家族で盛り上がります。
レオ・レオニの絵本
レオ・レオニといえば「スイミー」。
英語でも“Swimmy”
読み方はおなじなのに、「およぐ」のswimでスイミーなんだ!と、意外と日本語だと気付かなかったりします。いまも昔も、小学校の教科書の定番ですね。
こちらはちょっと長めですが、有名なのでYoutubeなどで英語の読み聞かせがたくさんアップされていて発音の勉強にはピッタリ!
スイミーが広い海を泳ぎながら、世界の美しさに気付いて勇敢に成長するストーリーは大人もグッときます。
レオ・レオニでもうひとつおすすめなのは「じぶんだけのいろ」。
英語では“A color of his own”
レオ・レオニの中ではちょっとマイナーな本かもしれませんが、たくさんの色が動物の名前と一緒に出てくるので、日本語版とあわせて読むと「きんぎょの赤は、redなんだね!」「そっか!きん、ぎょ、だから、goldfishっていうんだ!」
と、こどもでもわかりやすい発見がたくさんの絵本です。鮮やかな色と、ちょっとかなしくて、考えさせられるストーリーがお気に入り。
アーノルド・ローベルの絵本
「がまくんとかえるくんシリーズ」と言えばおわかりになる方も多いのではないでしょうか?
このシリーズは何度も何度も繰り返しこどもたちに読み聞かせ、英語学習初心者に本のおすすめを聞かれたら迷わず推してきた、いちばん大好きな絵本です!
- 「ふたりは きょうも」”Days With Frog and Toad”
- 「ふたりは いつも」”Frog and Toad All Year”
- 「ふたりは いっしょ」”Frog and Toad Together”
- 「ふたりは ともだち」”Frog and Toad are Friends”
この4冊が、がまくんとかえるくんシリーズです。
ちょっとワガママで奔放で、こわがりで、でもどこまでもまっすぐながまくん。
そんながまくんをいつも優しく見守ったり、励ましたり、外に連れ出すかえるくん。
ふたりはいつも一緒で、遊んだり、食べたり、お話したり、お互いを思いやりながら暮らしています。親子でも兄弟でもなく、ちがうお家に住んでいるけれど、尊敬しあい、時にはなぐさめあい、寄り添っている姿がとっても素敵。
このシリーズは三木卓さんの和訳がぴったりとはまっていて、がまくんとかえるくんの性格がよく表わされているので日本語バージョンも自信を持っておすすめします。
まずは日本語版でがまくんとかえるくんのファンになってから英語版を読むと、言葉が違ってもまったく印象のかわらない和訳の素晴らしさに驚くと思いますよ!
日常でよく使う会話や言い回し、遊びや身の回りのものの名前など、英会話に役立つ単語や文章が盛りだくさんです。
擬音や感動詞も面白い。「どかん!そりは、きにあたりました。」「ずぼっ!そりは、ゆきにつっこみました。」
「びしょぬれだ。」「ちぇっ。」「のぞかないでね。」「とてもいいてがみだ!」こんな簡単な文でも、英語にしようと思うと意外に難しいでしょう?
絵本の面白さは、辞書を引かないとわからないような難しい単語がほとんど出てこないので「自分ならどうやってこれを英語に、日本語にするかな?」と考えながら読めるところだと思います。
- 英語の本は読んでいると、わからない単語ばかりで辞書を引きながらだとなかなか進まない・・・
- 英語は勉強しているけれど、なかなか声に出す機会がなくスピーキングの練習ができない・・・
という方にも絵本はおすすめ。
会話の多い絵本はネイティヴの言い回しの勉強にもなります。
こどもにもわかるように簡単な言い回しで、短くわかりやすく伝えるためにはどんな表現を使ったら良いか。そして文章をいかにリズミカルに、つっかえないで読むことができるか。これらを意識するのは実際の英会話にとても役立ちます!
絵本なんてと侮ることなかれ、意外にすらすら読むのも難しいんですよ。
読書の秋がすぐそこまで来ています。今年はぜひ、英語と日本語で絵本を読み比べてみてはいかがでしょうか?
がまくんとかえるくんシリーズの翻訳をされている三木卓さんは、以前「フレディ 小さないのちの物語」という本を訳していらっしゃいました。有名な「葉っぱのフレディ」とおなじものです。
わたしは原書も読んでいますが、三木卓さんの翻訳と、後に出たものとではまるで違う本のようで、同じ本でもここまで印象が変わるのかと驚きました。三木卓さんの訳されたものは原書に忠実で、がまくんとかえるくんと同じく、原文のニュアンスをまっすぐに美しく伝えていました。
「葉っぱのフレディ」がお好きな方はぜひ一度、「フレディ 小さないのちの物語」も読んで頂きたい・・・!
三木卓さんは翻訳の間違いに気付きご自身で絶版を決められてしまったそうですが、素晴らしい和訳なので再販を熱望しています。