スピードラーニングレビュー1 聞き流しってどうなの?徹底追求!

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英スタでは、『初心者向け教材』として『スピードラーニング』よりも『スピークナチュラル』を高く評価しています。良ければ合わせてご覧ください。→スピークナチュラル英スタレビューページ

こんな人が対象者↓

  • 子育てもひと段落したし、そろそろ英語でもやってみようかしら
  • 英語は趣味でやりたいんです!
  • 読めるし書ける、でも道を聞かれたら頭真っ白
  • ネイティブ先生の英語の授業が苦痛
  • 兄弟がまさかの国際結婚、お嫁さんは日本語話せない

という人向け。

『英会話を楽しんで学びたい』『現地でできた友達ともう少し話したい』『ガツガツしたくないけど英会話ができるようになりたい』『海外旅行で最低限のやり取りはできるようになりたい』、そんな悩みには答えられるかも。

ただし戦いは最低で100日はかかる長期戦。明日のテストは他を当たろう。

大人版進研ゼミか、通信教育界のNOVAかと言うほどに圧倒的知名度を誇る『スピードラーニング』。その一方、怪しくきな臭いウワサもちらほらどころじゃなく聞こえてくる。

英語教材界のヒーローか、それともただのペテン師か。

さあ、この目で確かめてみようじゃないか!

内容調査の前に……例のウワサ、ほんとなの?

『スピードラーニング』は今では名前を知らない人はいないぐらいの有名教材。その分、アヤシげな都市伝説もちらほら聞こえてくる。

中でも有名なのが「無料お試しを頼んだのに、製品まで送られてきた」「お試しと一緒に入ってる商品のフィルムをはがしたら返品不可っていわれた、騙された!」というもの。

中身ではなく『売り方』に待ったがかかっているのって珍しいよね?

ん~、怪しい(笑)

無料おためしなんてよくある話なのに、なんで怪しい怪しい言われてるのか……

よし、じゃあいっちょ検証してみるか!

というわけで、実際どんな形で送られてくるのか?何が問題で、どこが罠なのか?実際に『無料お試し』を頼み、徹底検証してみることに。あんまりヒドいようなら斬っちゃうぞ!

無料お試しを頼んで一週間後……

きたよきたよー!

こちらが実際に届いた箱。箱は完全に真っ白で、ロゴも会社名も一切入ってない。差出人は『エスプリライン』で、品名は『SL ENG 送無+HDL』。スピードラーニングとも英語教材セットとも書かれてない!

この箱だけで中身がスピードラーニングだと判別することはまず不可能だから、英語教材を買ったと知られたくない人には嬉しいかも。

さて、それではさっそくご開帳!

開けるよ!+(0゚・∀・) + ワクワクテカテカ +

こちらが箱を開けたところ。

まず出てくるのはご利用明細や書類など。これを取ると

こんな感じで。右上のライトはプレゼントなんだとか。なぜこれをチョイスしたのかは謎(笑)

この画像では分かりにくいけど、左側にはトールケースが3つ重なってます。

一番上が無料視聴用。

無料視聴用セットを開けるとこんな感じ。

無料視聴セットの下にはさらに2つのCDが。こちらは『商品』です。第1巻と第2巻のセット。

開けるとこんな感じ。

入っているのはCDが2種類(英語+日本語、英語のみが1枚ずつ)、テキスト、ニュースレター(1枚ものの会報)。2枚目もセットの内容は同じだったよ。

にしても、上に乗っていたチラシや資料、冊子版の会報やら号外……、気合入ってるなぁ。カリキュラム紹介パンフレット(上の画像で袋に入っているもの)は紙まで厚手だよ(笑)

ヾ(*´∀`*)ノ「やー、太っ腹!無料お試し頼んだだけなのにこんなにボリュームたっぷり!流石は大々的に広告打ってるだけのことはあるよね!よーしさっそく全部開けちゃおう!」

しかし

その瞬間、悪い顔した新世界の神が微笑むのである

「 計 画 通 り Ψ(`∀´)Ψ 」

なぜなら……

無料なのに返品できない!?なんだそりゃ!?

スピードラーニングの無料お試しを頼むとき、絶対に気をつけなければならないことが2つあるんだ。

一つは

スピードラーニングは、『お試しだけ送られてくるわけではない』

もう一つは

スピードラーニングは、『商品を開けたら返品できない』

つまり、

『無料お試し』は必ず商品とセットで送られてくる。

『無料お試し』を頼んだ際に送られてくるのは『無料視聴用』(画像1枚目の水色パッケージ)と『商品』(画像二枚目の濃い青のパッケージ)の2種類。

この中で支払いナシで開けていいのは『無料視聴用』のみ

『商品』の方を開けるとその時点で『返品不可』となり、代金を支払わなきゃいけない!!

このことは『お支払いについて』の資料の中に書かれてる。

こんな風に。

あえて言おう。

わかるかー!!!!ヽ(`Д´)ノ

見も蓋もない言い方すれば『無料お試しを頼んだのに勝手に商品くっついてきて、間違えて開けたら買う羽目になる』わけですよ!

おいらは買う気だったからいいものの、本当に純粋に無料お試しだけ頼んだつもりでいたらと思うと血の気が引くよ。

さ ら に !

商品を開ける前、かつ届いてから10日以内なら返品できるけど、『返品時の送料はお客様負担』。

つまり『お金を払って返さなければならない』。

無料じゃないじゃん!どっちにしろお金払わなきゃじゃん!! 

要は

  • 無料サンプルを頼んだら商品とサンプルがまとめて送られてきて
  • どこまでがサンプルでどこから商品か分かりにくく
  • うっかり商品開けたら返品不可
  • 返品時の送料はこちら負担(事実上、完全無料はありえない)
  • これを『無料お試し』と呼んでいいのか問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。

    ……と思ったら、公式にこう書いてあった。

    名称が『無料お試し』じゃない……だと……?

    無料お試しに言及してはいるものの、あくまで『初回セット』と言い切ってる。彼らは最初からサンプルだけ配る気などなかったのだよ、ワトソン君……

    というわけで、スピードラーニングの『無料お試し』は試食販売や試供品ではなく、『念のために無料お試しつけておくね』というノリ。

    冷やかしのつもりで申し込んだ場合も送料を払うか買うかの二択になるので、お試しもよ~く考えてからにした方がいいよ!f11:ぶっちゃけ、返品めんどくさいからズルズル続けるって展開を期待してると思うよ

    で、肝心の無料視聴の中身はどうなの?

    ……と、無料お試しが実は無料じゃない残酷な現実を見たところで、気を取り直して無料視聴用CD&DVDの中身にいってみる。

    その名の通り、『無料視聴用CD&DVD』はCDとDVDのセット。ただ、この2つは収録内容が全く違う。

    CDの方は本編の内容のダイジェストが収録されているまっとうな『サンプル』。これを聞いて買うか買わないか決めればハズレない。

    で、DVDに収録されているのは30分以上にわたるスピードラーニングの宣伝。どう見てもジャパ●ットタカタですネタとしては面白い

    そんなわけで、無料視聴の中身はCDだけ聞けばOK。宣伝のためにDVDわざわざ作るってどうよ

    ……と、内容前の部分で若干不安になってくる『スピードラーニング』。果たして中身はどうなのか!?

    目的

    難易度

    リスニング初級者~中級者向け!

    お得度 8点/20点
    手軽さ 16点/20点
    オリジナリティ 12点/20点
    信頼度 14点/20点
    満足度 10点/20点
    合計 60点/100点

    グラフ化、点数評価するとこんな感じ。『聞き流すだけ』のうたい文句の通り、完全に『聞く』『話す』特化タイプの教材。知名度の割に評価は辛め(笑)もちろん、これには深い理由が……

    ざっくり言って、どんな教材なの?

    謳い文句の通り、『聞き流す』ことに徹底した教材。

    どのぐらい徹底してるかっていうと

    文法に一切触れない

    単語の解説さえしない

    テキストには英文とその和訳のみ

    というぐらい。ここまでくるといっそ清清しい。

    スピードラーニングのコンセプトは『今までの英語の勉強で学んだことを一旦リセットし、聞き流しで英会話力を身につける』。そのため、文法や単語といった『語学学習としての知識』はわざと排除されているみたい。

    身も蓋もなく言えば『耳コピ』のための教材。

    なので、従来の詰め込み型英語教育に飽き飽きしてる人、英語の『勉強』はしたくない人、忙しくて勉強してるヒマのない人にとっては画期的かも。

    ただし『戦いは長期戦が前提』。

    とりあえず、最低100日。

    最大で4年間戦いは続く。

    ……って、公式が言ってた!

    必要なのはオリンピックレベルの忍耐力!?

    『スピードラーニング』は全部で48巻。で、コースによって一月に届く巻数が変わる仕組み。一番ノーマルだろう1巻コースなら4年かかる。カリキュラム的には4年かけて学べるようになっている。

    ついでに言うと無料視聴用DVDでは「まずは100日続けてみてください」と言っていたので、100日は最低ラインなんだろうな。

    4年って言うと、えーと

    一巻が届いた頃に生まれた赤ちゃんが幼稚園に入って。中学生が高校生になって。オリンピックが一回りする。

    とりあえず、人生が軽く変わるぐらいの時間だね。いやー、ながいおつきあいだなー

    ……え?

    「スピードラーニングなんだから短期間で学べるはず」?

    ……

    誰もそんなこと言ってないよ?

    一日5分とは言ったけど、短期間で学べるなんて一言も言ってない

    ついでに言うと

    一日5分”から”とは言ったけど、一日5分”だけ”とは言ってない

    さあ、ここでイヤな予感がした人は今すぐ引き返すんだ!(笑)

    ぶっちゃけ、他の教材と何が違うの?

    スピードラーニングの最大の特徴は

    『手軽さ』『ハードルの低さ』

    『英語学習は努力!』『英語学習は根性!』というイメージを徹底的に取り除き、『気軽に・気楽に・気持ちよく』聞けるものを作っている。

    プログラム内容はCD1巻ごとにテーマが決められ、それについての会話が繰り広げられる形式。全48巻あるから、トータルでのボリュームは相当。

    また、CDの内容もバリエーション豊富。

    日常英会話や旅行英会話といった『よくある』系から始まって、『知られざるアメリカの歴史』『国際結婚』『異国での出産・子育て』みたいな、他の教材では見かけない『聞きたいけど聞けない大事なトピック』が出てくるようになる。

    その内容を全部耳コピできたなら、会話のネタはかなり増えるんじゃないかな。

    ただし、先ほどもいったとおり文法や単語の解説は一切なし。そのため、『会話以上』のものは期待のしようがありません。また、ここに入っている内容以外のことを言われたときに反応できるのかと言われるとかなり疑問。

    あと、受験やTOEICその他の『勉強』にはまったく向かない。全く全然これっぽっちも向かない。どちらかというと、『英語を勉強する』『意地でも英語を身につける』という時代を通り抜けた人向け。

    ある意味『英語学習』の対極にある教材だから、自分が『英語を勉強したい』のか『英語を話したい』のか考えてから手に取ったほうがいい。『英語を勉強したい』なら他にも安くていいものがあるし。

    そもそも、『聞き流し』ってどうなのさ?

    スピードラーニングといえば『聞き流すだけで英語が身につく』。

    このコンセプト(と某ハニカミ王子)によって爆発的に広がったけど、果たして本当に『聞き流し』効果なんてものがあるのかな?

    そのへん、実際に本気出して考えてみた。

    まず気をつけなけきゃいけないのは、この教材の『聞き流す』が『最低100日“繰り返して”聞き流す』という意味だってこと。『一回聞けば英語が話せるようになる』なんて甘いものじゃあない。

    同じCDを100日ひたすら繰り返して聞く。聞いて聞いて聞いて聞いて聞きまくる。AKBも真っ青の強制ヘビーローテーション。

    『(繰り返し)聞き流す』ことで、まず “覚える”ことができる。覚えたものは頭の中にたまる。

    そして、頭の中にためたものが一定量に達したとき、全部が結びついて、無意識に使いこなせるようになる。

    イメージとしては『自転車』。

    自転車って、乗れるようになるまでは「なんで乗れるの!?」と思うのに、乗れてしまったら今度は「なんで乗れないの?」って思うよね。あの感じが近いんじゃないかな。

    何度も何度も練習することで経験がたまっていき、そのうちいい感じのバランスを自分で見つけられるようになる。一回乗れると、それ以降は自然にバランスが取れる。

    スピードラーニングが目指すのはこういう『情報をインプットしまくることで、考えないでもできるようになる』という段階なんだ。まさに『考えるな、感じろ』の世界。

    自転車のことを考えると、あながち間違ってはいない……と思う。

    でも!

    問題は、これがどんな英会話音声に対しても言えることだってこと。「知識と経験詰め込んでると無意識に使いこなせるようになる」なら、スピードラーニングである必要はないんだ。

    じゃあ、わざわざ『スピードラーニング』を選ぶ理由はどこにあるのか?

    これについては『やりやすいから』の一言。

    『スピードラーニング』は、ラク。セレブ相手だからなのか全体に余裕がにじみ出てる。BGMはゆったり系クラシック、ひたすら英文と日本語の繰り返し。基本的に頭は使わないし、そもそも頭を使うことを求められていない。

    つまり、『繰り返す』『継続する』ハードルが極限まで下げられている。

    だから取り組みやすい。

    『英語の勉強』としては効率が悪いけれど、『ラクに継続する』『ヘビロテする』場合の取り組みやすさは群を抜いてると思う。

    ……ただし、そもそも文法や単語の知識がない人がこれだけで全てを学ぶのは無理があるといわざるを得ないのも事実。スピードラーニングは基礎知識を補ってはくれないから、基礎知識ゼロで挑むのは正直言ってムチャ。

    スピードラーニング自体は『知識を使わずに学ぶ』ものだけど、『知識』を否定しているわけではないので、そこは気をつけてね!

    気になる内容は……

    「じゃあ具体的な中身はどうなってるの?」って?

    もちろん今からガンガン掘っていくよ~!

    それではさっそく、CDの中身をご開帳(゚∀゚)

    CDは基本的に『日本語+英語』と『英語のみ』が各1枚ずつ。中身はこんな感じ。

    それぞれ、話の区切りごとにトラックが変わる形式。英語+日本語、英語オンリー両方とも同じタイトルなので、パソコンなどに両方を取り込むと若干ややこしくなるかも。

    一枚辺りのボリュームは日本語入り版が50分前後、英語のみ版が15分前後。大体3:1ぐらい。

    で、実際聞いてみると……

    最初に「おっ」と思うのが『登場人物の多様さ』。2~3人で会話する英会話教材が多い中、一つの場面で5人も6人も登場人物が出てくるのは珍しい。キャラクターも大人から子どもまでバリエーション豊か。実際の英会話は色んな年齢の人と話すし、このこだわりは嬉しい。

    『棒読み』ではなく適度に感情が入ってる話し方なのもプラスポイント。ラジオでドラマを聴くような感覚でのめり込めます。

    ただし

    声が多種多様でちゃんと演技してるのは『日本語だけ』。

    そう、このスピードラーニング、英語と日本語のギャップがすさまじい。

    英語では綺麗なお姉さんだったのに、日本語だとょぅj……子どもだったりする。日本語では奥様同士の会話なのに、英語だと独り言に聞こえる。お前はひみつのアッコちゃんかと突っ込みたい

    いや、英語声優もちゃんと複数いる。いるんだけど……『声が似ている』『演技してない』『日本語に比べて馴染みがない』のトリプルコンボで、声の聞き分けに意識が向かない。英会話教材なんだから全力で演技されて聞き取れなくなるより聞き取れたほうがいいんですが、日本語との落差が激しすぎて混乱する。

    『大人数、多様な年齢層での会話』というコンセプトはいいと思うのに、英語声優のおかげで台無し。なぜ英語声優にこだわらなかったのか!

    そして、プログラムにもちょっと物申したい点が。

    『英語』→『日本語』という形で進行していくんだけど、このペースが問題。一言二言で切り替わってしまうため、会話がぶつ切りになってしまう。その都度日本語を教えてくれるのは助かる反面、没頭ができない。

    それを解消するために英語専用CDなんだけど、今度は英語のみで和訳がなく、テキストがないと意味がわからない!なんとも中途半端……。

    シンプル・イズ・ザ・テキスト

    お次はテキストについて。

    テキストはそれぞれのケースの内側に入ってるB6より一回り小さいコンパクトサイズ。とはいえ、見た目はしっかりとした冊子にはなってる。

    開けたところはこんな感じ。

    シンプル・イズ・ベスト。英文と和訳のみ。最初から最後までこの状態。

    もともと説明書に「テキスト見ないで聞いてくださいね」と書いてあるから、テキストにはあえて色々入れてないんだろうな。さすがは『聞き流し』教材。

    どんな学び方をすればいいの?

    1に聞き流し、2に聞き流し、3,4がなくて5に聞き流し。

    とにかく『聞き流す』。ひたすら聞き流す。文法も語彙も全てを忘れて聞き流す、口をついて出てくるまで!

    ……という、地味な学び方が中心。意識して聞き込む必要はなく、とにかく流し続ける、継続することが重要。

    何せ年単位で継続することが前提。気合を入れると間違いなく息切れする。解説があるわけでもなし、BGM気分で流し続けるのが基本。ちなみに、聞き流す場合はイヤホンでもラジカセかけっぱなしでもOK。

    意外な伏兵、その名は『サポート』

    ところでこのスピードラーニング、意外にもサポートが結構充実してる。価格の半分は人件費じゃないかとツッコミたくなるぐらい充実してる。

    無料サポートだけでも

    専用サポートページ

    電話サポート

    5分間ネイティブと英語で話すサービス

    パソコンでのリスニングチェック

    サポートメール

    と、かなりの充実度。売りっぱなしの教材が多い中、「ここまでするか」というサポートがもりもり。買っただけでは終わらず、アドバイスがほしい、ちょっと英語を使ってみたいという人のニーズにばっちり答えてくれる。

    特に力が入っているサポートが『英語で話すサービス』で、これは無料の他に有料版もあり。DVD曰く、実際に話してみることも大切なんだとか。

    基本はとにかく聞き流し、サポートがほしくなったらサポートを活用する。これが鉄板の流れ。

    ……あれ、聞き流すだけでいいって言ってなかったっけ……?

    60歳の用務員のおばちゃんが語る『ぶっちゃけどうよ?』

    レビューを見たら、次に気になるのは『そもそもレビューしてる人のレベルがどうなのか』

    ちまたのレビューを見ても、レビュー書いてる人がどんなレベルの人なのかイマイチハッキリしない。上にしろ下にしろ、自分とレベルが違う人の意見はアテにならない。初心者ならなおさら。

    あと、地味にレビュワーの年齢も気になる。ネット上には若者の意見やレビューは結構あるけれど、『子育てがひと段落した主婦』や『退職後のことを考え始めたお父さん』のレビューは案外なかったり……。

    というわけで、英会話学校に通っているらしい用務員のおばちゃん(60歳、高卒、英語資格ナシ、実力は初心者レベル)に頼んで『スピードラーニング』を実際に聞いてもらって、使い心地を聞いてみることに。果たして還暦の趣味に合う内容なのか!?

    ――どう? ウワサの『スピードラーニング』は?

    これねー、ちょっと早すぎるわねー

    ――早すぎる、って何が?

    英語と日本語の切り替えよ。英語のあと、全く間を置かずに日本語が流れちゃうでしょ?

     それだとせっかく聞いても、考えている時間がないのよ

    ――聞いた後になんて言ってるか考える時間がないってこと?

    そうそう! それそれ! 私もただ聞いてるだけじゃなくて理解したいからねー。日本語が逆に邪魔になっちゃうのよね。その点、英語だけのCDの方が意味は分からなくてもスムーズに聞けたかな

    ――ふむふむ、他には?

    あと、英語の人は一人で話してるのかな? 声が似すぎてて誰が誰だかわからなくなる……

    子ども役なら子ども役を使ってほしかったな

    ――内容的には?

    テーマごとに分かれてるから、それは助かるわね。旅行会話だけとか日常会話だけとか、テーマで区切った教材ってなかなかないのよ

    ――ズバリ、星いくつ?

    星3つかなー。ちょっと思ってたのとは違うね、おしい!


    この点は注意!

    特に気をつけてほしいポイントは3つ。

    とにかく長期戦

    他の通信講座と比べて高い

    会話『完全特化』なので、勉強向きではない

    スピードラーニングの最大のデメリットといえば、『長期戦前提』なところ。

    スピードラーニングって名前のくせに長期間前提。いや、『スピード』という単語そのものには『早い』という意味はないから間違ってはいないのか。

    ……ミスリード誘ってるなぁ(笑)

    そして困ったことに、この『長期戦前提』という事実が購入前にはほとんど分からない。

    確かに『●●日で身につく』というフレーズは一切使っていないし、公式ページをよく読むと長期型なのは想像できるんだけど、なにぶん『一日5分聞き流すだけ』というキャッチフレーズが強力すぎて『聞き流すだけで短期間に英語が習得できる』と誤解させてしまっている。

    次にコスト。

    はっきり言って高い。他の通信講座と比べても割高。

    サポートが充実しているとはいえ、教材はCD+テキストのセットで4,200円、これが4年間毎月かかる。その割に内容は『聞きやすさ』が最大の売り、ボリュームも解説もほとんどなしという状態だから、どうしても割高といわざるを得ない。この金額が屁でもないような層の人向けってことなんだろうなぁ。

    最後に、プログラムの内容が『完全に英会話特化』。

    スピードラーニングはとにかく『会話のための』教材で、アルファベットが一文字も書けなくても英語を話せるようにする勢いで『英会話』に特化してる。

    『聞き流すだけ』というより『聞き流し以外はするな』と言われてる気分。

    そんな調子だから、英語の『会話力』は上がっても『英語の成績』には結びつかないことうけあい。

    ……などなど、色々言ってきたけれど、そろそろまとめタイム!

    そろそろ結論を……

    時間的、経済的に余裕のある人が、のんびり英会話を学ぶための教材。

    もしくは勉強する意欲や余裕がない人が『それでも何か学びたい』ときの教材。

    名前は『スピードラーニング』だけど、内容はむしろ『スローライフラーニング』。

    『スピード』は『早く学べる』という意味ではない。気をつけろ!

    全体的に『英語を勉強せずに身につける』ことに特化したプログラムだから、勉強しようと意気込んで買うとすっころぶ。

    「英語を使って活躍してやる!」とか「英語の成績さえ上がれば!」とか「英語をビジネスに活かすぞ!」とか思っているエネルギッシュな人には合わない。

    また、得られるものは『日常』の枠内での英会話のみなのでビジネスやTOEICのニーズには答えられない可能性が高い。

    ぶっちゃけ、『英語の勉強』に役立つかといえば限りなくノーに近い。プログラムは決して悪くないし会話も面白いけど、いかんせん『勉強向き』ではないので、若い人が勉強目的で買うと泣きを見る可能性が跳ね上がるんじゃないかと。

    その代わり、

    「人生の中にスパイスとして英語を取り入れたいな~」という人

    「活かすチャンスが来るかは分からないけれど学びたい」という人

    英会話に興味はあるけど勉強はしたくない人

    などには向いてる。

    長期戦でも構わない、むしろじっくり学びたいという人なら願ってもない教材だと思う。

    とにかくゆったりたっぷりのんびり。『学ぶぞ!』というガツガツ感のない『ゆるさ』を求めているなら試してみる価値あり。続けることさえできれば聞き取り力も上がっていく……多分。

    また、中学・高校レベルの英語能力があって改めて『英会話』を学びたいという人なら結構な効果が望めるかもしれません。

    ただし、『最低100日間、プログラム終了まで4年間』という圧倒的な長丁場に耐えられるなら。

    値段は他の英語教材と比べたら明らかに割高。ただ、ここまで会話のテーマが豊富な通信教材は珍しいので、そこをどう捉えるかによるかな。一月あたりのボリュームは少ないけど。あと、毎月届くから教材を探し回るのがめんどくさい人にはいいかも?

    まとめれば

    英語から『勉強』と『効率』を引っこ抜いた『英語の日常会話を身につける』ための教材。

    必要なのは、年単位でヘビロテする覚悟。

    良くも悪くも中高年向けなので、英語を習得したい若い人は他を探してみるのをオススメしたいかな。

    英スタでは、『初心者向け教材』として『スピードラーニング』よりも『スピークナチュラル』を高く評価しています。良ければ合わせてご覧ください。→スピークナチュラル英スタレビューページ